勤務年数や役職処遇によって貰える金額が変わってくる退職金ですが、世間一般では退職金は貰えるのかどうか?と言われると退職金制度を用意していない企業もあります。
目次
退職金制度がある企業の割合
退職金制度がある企業の割合は政府統計では以下のようになっています。
退職一時金制度を有する企業は92.2%、企業年金制度を有する企業は60.5%となっている。退職金制度を有する企業(退職一時金又は企業年金のいずれか又は両方の制度を有する企業)は96.4%となっている。
http://www.e-stat.go.jp/出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)
このように全体では92.2%の企業が退職金制度を用意しています。従業員数が多ければ多いほど退職金制度を用意している会社の割合は高くなる傾向にあります。
ここに出てくる退職金制度にある「退職一時金」と「企業年金制度」。
これらについては以下のような調査結果があります。
退職金制度の種類
退職金制度を有する企業について、採用している制度をみると、
- 退職一時金制度のみが37.3%
- 退職一時金制度と企業年金制度の併用が58.3%
- 企業年金制度のみが4.4%
となっています。
これを企業規模別にみると、規模の大きい企業ほど併用の割合が高く、退職一時金制度のみの割合が低くなっている。
大企業になればなるほど、企業年金制度による給付があります。
一般的には退職金とはここでいう「退職一時金」のことを言います。
ではこの退職一時金(退職金)の算出方法は企業によってそれぞれ違いがあります。
退職一時金の算定方法
退職一時金制度を有する企業について、退職一時金の算定方法をみると、
「最終の基本給等算定基礎額×支給率」が62.8%と最も多く、以下、ポイント制12.5%、定額制9.8%、別テーブル方式9.0%と続いている。
自分が所属する会社がどのような退職一時金制度の算出方法を用意しているのか?については就業約款などに示されていますので、退職を考えている際はいま一度就職時に見せてもらった従業員約款や雇用の説明書などを調べてみるといいでしょう。
勤続年数別支給率
退職一時金の算定方法が「最終の基本給等算定基礎額×支給率」の場合について、退職事由別に勤続20年を100とした勤続年数別支給率をみると、定年は、勤続10年が41、30年が169、40年が212となっている。これに対し、自己都合は、勤続10年が34、30年186、40年が238と、定年を上回る較差を示している。なお、会社都合は、定年とほぼ同じ値となっている。
(注) 退職事由ごとに勤続年数別の支給率の変化を示したものであり、退職事由間の退職金支給額(実額)の大小を示すものではありません。
定年退職と自己都合退職による退職金
勤続年数別支給率の5年間当たりの増加幅をみると、いずれも勤続25年ないし勤続30年までは増加幅が拡大する傾向を示しており、勤続期間が長いほど支給率がより有利になるようになっているが、それ以上の年数では増加幅は縮小している。
出典:平成13年度 政府統計の総合窓口(e-Stat)
もらえる退職金の事例別サンプル
早期退職優遇制度で退職する場合、定年退職する場合、それぞれの獲得資金を計算してみました。すべて仮定の条件を定めて、大企業での例を試算したものです。以下は貰える退職金の参考事例です。
大卒50歳、勤続28年、課長職、年収1000万円の事例
離職は会社都合、会社ローンなし、
なら、通常退職金1500万円+上乗せ1000万円=2500万円。
さらに会社都合なので雇用保険の失業給付(特定)330日分260万円。合計2760万円となります。
定年の60歳まで努めた場合の事例
一方定年60歳まで勤めた場合は、職位が上がる、勤続年数が増える、会社への貢献度が高まる等を勘案して、退職金3000万円。失業給付150日分120万円。合計3120万円となります。
50代で早期退職を考える
50歳で早期退職した場合、10年後60歳で定年退職した場合、それぞれこのような数字になりますが、これは「どちらがどれだけよい」という事ではなく、人生の節目である50歳または60歳で獲得する「まとまった資金がおおよそこのぐらいか」という知見を身につけるだけのものです。人生設計の一助にお役立てください。
さて50歳から60歳の10年間については、もう少し詳しく見ていきたいパートでもあります。企業によっては55歳時の身分職位で退職金確定とし、それ以降いつ退職しても退職金は同じという制度もあります。理由はその企業が職位のピークを55歳にしているためで、55歳以降降格も十分ありえるからです。
長く勤めるほど偉くなるはもはや過去の伝説
今の時代、長く勤めるほど職位が上がる、いわいる偉くなる、というものではありません。50歳代ではまた、大企業なら子会社への出向もよくある時期です。
出向1年後に正式に親企業を退職するというルールが一般的ですが、この時退職金を受け取ることになります。
そこであと何年勤めるかは別の話しではありますが。従い単純に、50歳早期退職か、その次は60歳定年退職かという二者択一的な選択があるだけではなく、この10年間は、サラリーマンとしていくつものつらく厳しい岐路に立たされることになります。
何らかの自己都合で退職するなら子会社への出向、定年退職等を総合的に眺めたあとで慎重に進路を考えていきたいですね。
次の行き場が見つからない時は転職エージェントに踏ん切りを付ける前に転職エージェントへ登録しておくことをおすすめします。