筆者は地方の国立大学理系卒業で慣例どおり技術系の大手メーカーに入社しました。
電気工学専攻でしたので、日本に数ある有名電機メーカーの一つに就職しました。大過なく仕事をこなし、同期入社仲間の平均ぐらい40歳代初めには課長になっていました。
以下にお話するのは、筆者の同僚で隣の課の課長であった人が突然離職し、他会社へ転職した顛末と彼のその後についてです。
事実は小説より奇なりと言われますが、当時その事を知った筆者は絶句しました。「一体何の不満があるのだろう」かです。
話しは2年前に遡ります。当時部長だった人が、親戚が経営していたソフトウエアー会社に突然転職しました。極めて珍しい事ですが、社長として就任したのですから解らないわけでもありません。その2年後同僚の課長はその会社に転職したのです。今思うとなるほどと思う事もあります。要は引き抜かれたのです。
仕事上その会社とは付き合いがありよく接触しておりましたが、数年後に転職したその同僚と一杯飲む機会がありました。筆者の知らないその会社のことや元同僚のことをいろいろと聞きました。長い話しなので要点をまとめると次のようになります。
- 給料は部長ということもあり確かに上がった。
- 年2回の賞与は大幅に下がった。
- 部内の残業予算が少なく、配分に頭を悩ませている。大きな声では言えないが、手当なしで残業、休日出勤してもらうこともしばしばで、その折は自腹でご馳走している。
- 社宅がないので代わりにある住宅手当だが、大きく減り若手は困窮している。
- 社員全員だが有給休暇が満足にとれない、とれる雰囲気ではない。計画休暇は名のみ。
- 会社経営もしくは提携の保養所がすべて廃止され、安く利用できる宿がない。
- 業務には関係ないプライベートな相談が多い。サラ金関係もある。
- 家内は当時転職に大反対だった。しかし今夫婦仲は以前よりも良い。支えてくれている。
ここで元同僚は泣き出した、筆者ももらい泣きした次第。
いろいろな角度からの判断が転職には必要です。
こっちはよいけど、そっちはよくない、これはいいけどこれはだめ等、比較しても意味ないことがいっぱいです。
要はどこに自分の価値を求めるか?です。
一義的に決まるものではないこと筆者はよく認識した次第です。