2013年4月より高年齢者雇用安定法の一部が改正されました。
原則として60歳を向かえた社員が希望すれば、65歳まで雇用を継続しなければならなくなりました。
改正前は、継続雇用の対象者は、企業内労使協定で定めた人と限定されていたので、大きな変革です。
目次
あくまでも定年は60歳
会社は従業員を65歳まで雇わないといけない。
だからといって定年が65歳になった訳ではありません、あくまでも定年は60歳です。
つまり正社員契約はいったん60歳定年でリセットされ、以降嘱託社員として再契約されます。
身分もリセットされ(役職からヒラになど)、また仕事も定年前と同一とは限りません。
要するにこの法律では、定年時の労働条件を引き継ぐことを義務付けておりません。
嘱託契約が会社と社員の間で合意ができなければ、契約不成立(再雇用なし)となります。
これは官民共通ですが、最近は管理職にならずとも(給料が上がらずとも)、自分および自分の家族ケアや趣味を優先するという意識が相当高まってきております。
就業体型の欧米化
就業体型が欧米化していることはたしかです。
この社会情勢の変化にしたがいこの高年齢雇用安定法に対する拒絶反応的なものはほとんどないのも現実です。因みに某労働人口調査(昨年2013年)では、正社員3300万人に対し、嘱託社員を含む契約社員は330万人です。
それでは実際に嘱託社員はいかほどの給与を得ているのでしょうか。
嘱託社員の給料
嘱託社員の給料を平均的に見る場合、その一つの大きな根拠は、高年齢雇用継続給付の受給要件です。
60歳以降給与は大幅にダウンしますが、それを少しでも補う目的の法令で、具体的には75%以下にダウンしたら75%に引き上げるもので、60%以上ダウンなら15%が支給されます。
つまり給与が60%にダウンしても本人の最終手取りは定年前と比べ75%水準に抑えられることになります。
各企業はこれを有効に活用し、定年前給与水準の50〜70%を嘱託の給与水準としているのが一般的です。
例えば、年収880万円(額面)の場合
定年直前の給与が50万円として
毎月の給料は
60万円×12ヶ月で720万円
これが嘱託になることで
600,000円 × 60% = 360,000円
毎月の給料は
36万円×12ヶ月 = 432万円
賞与 800,000円×年2回
年間合計 160万円
これらも
賞与 200,000円×年2回
年間合計 40万円
これらの合算で年収880万円例では嘱託社員になること以降の年収は472万円となります。
これは嘱託社員でも賞与がる極めて珍しい例で算出していますが、会社によってはこのような年間14回の給与支払いに応じる例もあり、単純計算で12回払にすれば毎月の給料が数万円アップする結果になります。
要は年収です。
もとの年収が880万円で嘱託になることで年収が大幅に下がります。
しかし、同時に所得税他の税率が変わるため手取りは額面ほどのダメージを感じにくい。
さらに厳密に言えば60歳からは、働きながらもらう年金(在職厚生年金)がありますが、民間の場合は給与と年金の月額合計が28万円を超えたら、超えた分の半額が本来もらえる年金額から差し引かれるというものなので、こちらでの所得増はほとんど期待できません。。
なかなか微妙な設定になっているというのが現実ですね。